近隣に退職後の男性が時々滞在する。都会地に住んでいる。しかし、母親がこの地方の施設に入っている。母親は相当な高齢のため年に数回帰ってきて、家の面倒も見ている。汗だくになりながら、家周囲の草刈りや剪定をしている。今の時期がいちばん大変そうだ。
長年大手企業で働いていたようで、話し好きなようでもあるし、またとても硬派な感じのする意見を述べる方である。
このあいだお誘いしたところ、夕方5時から延々と一献傾けることになった。いちばんの悩みは、家の処分はどうするかということだった。
田んぼを買ってもらいたいと委託耕作の人に提案しても断られたりしたみたいである。私に「山はどうしたらいいのでしょうか」、と真剣に尋ねられるが、「まあ成り行き任せですね」としかいえない。
実の妹が複数いて、子供も嫁に出た子が複数だそうで、何とか処分したいのだが・・、と話していた。娘たちは相続をしないといっていて、山や畑や田んぼや家を相続放棄してくれといっているらしい。
簡単にいうと母親が所有している田舎の田畑や家までを誰かに(誰でしょうか?)もらってもらい、都会地にある固定資産だけを相続したいという都合のいい話のように聞こえる。
新聞記事に、荒れた土地建物を地方公共団体が仕方なしに解体するという記事がよく載る。しかし、この地方でも、あちこちでゆっくりとではあるが個人の建物が解体されていく。竹藪に覆われていた敷地、見るも無惨な家があったが、あっという間に更地になった。また、街筋の家が解体され、両隣に接していた隣家の壁面にブルーシートが貼られて、心寂しい姿も見える。
しかし、一番多いのは、住む人のいなくなった草ボウボウの家屋である。今まで地域の隣人として住んでいた人がいなくなってしまいその後の家々である。皆さん困っているに違いない。
何も言うべき言葉はない。私は成り行き任せである。
写真:次の世代に期待しよう(2018年6月撮影) 2023.7.16記