11代目のブログ

とあるシーン

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 昨日、朝早くバスに乗った。
 7:30に通過するものである。それが、始発で一番早い。
 1人の50歳前後のスーツ姿の紳士が乗っている。
 田舎バスでまず見られない光景である。

 どうしてかって?
 田舎バスに乗る人は限られている。
 まず、人が少ないから空気だけ乗せていることが最も多い。次に多いのが通学のための小学生や高校生。その次は、地元のざっくばらんな服装の人。それと観光シーズンは個性的な服装の人たち。もちろん foreignersも。
 スーツ姿は、まずいない。車を使うからである。

 その方の座っている優先席のすぐ近くに私も座った。乗って15分も過ぎたあたりで高校生が乗り始めて少し混み始め、その後に小学生がどっと乗ってきたら、その紳士は立って席を空けた。
 田舎のバスは揺れる。立ったときに、持ち物がみえた。分厚く書類が入ったとても重そうなそしてファスナーが締まらないカバンと大きな紙袋である。
 この紳士は、この地方の人でないと確信した。が、どうしてこんな田舎バスに朝から乗っているのだろうと。

 乗車した小学生も落ち着き、私の横の席は空いている。「座りませんか」と声がけすると「ハイ」とおっしゃりスポッと横に入ってきた。

 カバンが気になり、「何をされているお仕事ですか」と聞く。「〇〇です」。「どうしてこんな朝早くからバスに乗っているんですか」。「実は昨日仕事で入る予定だったのですが、交通機関が動かず、改めてレンタカーを借り直すために××に向かっています」という。

 「どこからおいでになったのですか」。「△△県です」。「そうですか」。
 ちょうど偶然1枚名刺を持っていたので渡す。紳士も名刺を出されたので、拝見する。
 ㈱と役職と営業職が入った名刺である。

 関西の西端のある企業の役員級の営業マンが、この辺鄙な地方まで足を運び、〇〇のコマーシャルで地道に回っていることに何か心を揺さぶられものがあった。

 紳士の家族はどうしているのだろう。この小さな地方を回った後は、また〇〇県に帰るのだろうが、次回るのはは東北地方だろうか。回る範囲は膨大であろう。気の遠くなるような話しである。

 「越中富山の薬売り」の〇〇社版、全国ー人旅である。

 企業マンの厳しさと〇〇社の製品に対する熱意を受け止めるしかなかった。

 熱意に応えるには、この地方の現在の情報を的確に伝えることである。この方は、3日間でこの地方の企業を回るという。多分、一つ一つ飛び込みで潰して〇〇社の製品をコマーシャルするのであろう。
 しかし、的確な情報であれば、この紳士は軌道修正は簡単にできる方とお見受けした。

 私も一企業人である。他社が異業種でもとても参考になる。

 ところで、始発バスになぜ私が乗っているかって?
 それは、あるターミナル駅の近くまでマイカーを取りに戻っているからである。つまり昨日の帰りはアルコールが入っていたからである。

 朝早くバスに乗ったのは、当日私にすれば結構な仕事量(たいしたことはないのだが)が入っていて、パッパパッパと雑用をこなしたかっただけである。不在の数日を過ごすと雑用が貯まる。

そして、

 持ち貸家の内覧をしたいと、広告を依頼している不動産会社から昨日連絡が出先に来たからである。普通のアパート物件は、いちいち不動産会社から大家に内覧の事前連絡はないものだが。
 私の所有している古民家の場合は、事前連絡である。
 理由は、冷やかしお断りであるからだ。だいたいこの時点で、希望者は内覧の意思を失う。それでもと思う方でないと貸したくはない。

 それでも内覧したいという方には、やはり玄関先や室内をある程度清潔にしてご覧頂きたいものと考えているからである。
 
 自然現象でほこりはたまるし、虫も生きているから潜り込む場合もある。

 誰かがクリーンアップすることで気持ちよく人は生きていられる。
 
写真 関西梅田 桜橋の夜  (2023年11月撮影)2023.11.9日記