この地方特有の、時雨の季節だ。
バシャバシャと突然降り出す。そして北西の季節風を伴う。一日中間断なく続く日もある。その時は、家に籠もる。
反面、昨日みたいに日差しがわずか射し込むこともある。
秋寂びた風景をみながら、物件を回る。
秋寂びるとは、秋の物寂しい風情のことでもあり、秋を惜しむ心でもある、とネットが答える。
そう思う日もあるが、あでやかな錦秋の盛りを過ぎた風景も、雨の日であっても綺麗、見事だと思える日もある。
日差しの光線が、山や里の一隅を照らすと、見事な錦秋の木々が浮かぶことがある。茶色がかった赤にオレンジ。そこに真っ黄色の銀杏の姿。
天気不安定なときは、虹が大きなアーチを描く。
ところで、前にも書いているが
家人の父の時代は客間として使っていた部屋は、今は私の書斎兼事務所として使っている。しかし、築35年ほど経った部屋の壁紙は薄汚れ、釘があちこちに打たれている。大きな時計は振り子が振れることもない。年2回しか使わない(夏、孫がみるだけ)でかいテレビ(60インチtv)は、壁に斜めに置かれ窓からの眺めを遮る。
天井の蛍光灯は、LEDシーリングライトになり、蛍光灯時代のネジ穴が何カ所も開いている。
何とかしたいとは思ってきたが、私の家ではない。家人にとって、生前の父親が使っていた部屋の思い出があるに違いないと思い、言い出せずに2、3年が過ぎた。
それでも使い勝手が悪いところは、少しずつ変更してきた。大きな書棚を運び入れたり、経理の書類や文房具を置ける小さな書棚もなんとか据え付けた(家人の書棚を押しのけるのが大変だった)。TVケーブルを入れ直したり、コピー機の導入をしたりして、少しずつ事務室機能を上げていった。
9月末頃、家人が壁紙の張り替えをしようといいだした。
茶色に変色した布製の壁紙であるが、貼った当時はベージュだったという。
業者との打合せが終わり、待つこと一月。この中旬の2日間で一気に工事し、わずかにベージュがかかったビニール製壁紙の白色の部屋が完成した。斜めに置かれ、窓の一部を塞いできた大きなテレビを移動したら、部屋に落ち着きが戻った。
窓からの眺めが戻り、コンセント位置に合わせてパソコンラックやコピー機を配置したので、電源コードの扱いが格段に良くなった。
大きな動かない時計は、今旅に出ている。シ○○○の工場に向かっている。
ところで、壁紙を貼るときにあることが問題になった。
『蓄熱式電気暖房機』というものをご存じだろうか。ネットで探すと小型のはやりの機器が並んでいる。
この部屋に置いてある 『蓄熱式電気暖房機』は、一昔前にはやった夜間電力を使い、長さが1.8m、背丈が90cmくらい、奥行き25cmの細長い機器である。K電線株式会社製とある代物である。K㈱なんて聞いたことのない、特殊な専門メーカーみたいだった。これもネットでみると、ある電力会社グループの会社で、ロードヒーターの開発もしているようだ。
さて、これを動かさないと壁紙が貼れない。ちなみにエアコンも室内機は外すことになっている。
電気屋さんが来て、「中にはセラミックがはいっているんですよ」って言いながら、四隅を止めている固定ネジを抜いていく。
30cm位をスライドしようと、引くがてんで動かない。まだ固定ビスがあるのかと思い、探すが見つからない。
そのうち、電話をかけ始める。どうもK電線株式会社に電話しているみたいだ。固定ネジの場所と、機器本体の重量を問うている。そして一ケ月のおおよその電気代も。
1時間後に、返答が来た。
なんと、重量は380kg。動かないはずだ。駆体を運んできて、セットし、それからレンガを詰め込むのだそうだ。電気代はおおよそ○万円であった。
レンガはセラミックはセラミックだが。レンガとは・・・、ウーンと思い、ため息が出た。
電気(電熱線)でレンガを温め、遠赤外線の熱を放射する仕組みだ。
毎年、恩恵を受けてきたが、薪ストーブにあたっているようなものだったのか、と合点がいった。
壁紙はどうしたかって?
動かせないから、諦めた・・
写真 ある雨の日 秋さびる (2023年11月撮影)2023.11.28日記
追記 なかのレンガを取り出して動かせば、って?
レンガは触れば崩れるという。冷と熱を繰り返して傷んで弱くなっているそうだ。
地獄の閻魔さんまで今世の紙幣は持ってけない。しかし、昨今の電気代は高い。深夜電力もこの地方では廃止された。
エアコンで生活することもできる。なぜなら家人は既設置の古いエアコンはいつ壊れるかわからないからと、暖房強化型を奮発して新設したからだ(年金生活で苦しい苦しいと言ってるくせに)。
よく考えると、お金の重みと温かさの価値は比較できないのだろう。
【暖房強化型エアの吹き出し】vs【遠赤外線レンガのぼわっとした空気】のどちらかをチョイスか・・